H building

明治通りと裏の遊歩道を結ぶ、細い道路の途中に計画した3階建ての賃貸ビル。
基本構成は、9本の柱で組まれた単純な鉄骨の骨組みで、床や屋根が支えられている。
高層ビルの真裏で、建物も密集しているため、薄暗く閉鎖的な建物とならないよう、
下の階ほど天高を高くし、光をより多く取り入れ、街と連続するよう計画した。
1階の床、屋根を含めた4枚のコンクリートに穴が開いていて、ガラスを嵌めている。
ガラスの透過性や反射といった、水に似た性質が、水面のような現象を床と天井に起こす。
下から見上げた構造は、樹木の下に立った時の感覚と重なる。
このように、建築を形成する素材や構造、またそこから引き起こされる現象によって、建物そのもの、
あるいはそれをとりまく環境に自然のもつ優雅さやおおらかさのようなものをつくろうとした。
また、この建物の周辺環境の1日、1年、より長い時間での変化がそのまま、建築の環境となる。
このような建築のあり方が、人と環境の新しい関係性となるのではないか。project_9-1.html